レザークラフトにおいて、トコ面(革の裏面)やコバ(革の断面)の仕上げは、作品の完成度を大きく左右する重要な工程です。中でも「仕上げ剤」は質感や手触りに直結するため、どの製品を選ぶかによって印象が大きく変わります。
本記事では、クラフト社のトコフィニッシュとトコプロ、岡製作所のトコ艶クリームを実際に使用したレビューをもとに、使用感や仕上がり、使い分けのポイントを詳しく解説します。
各製品の特徴と使用感
トコフィニッシュ(クラフト社)
トコフィニッシュは、透明でとろみのある水性溶液。トコ面に塗布し、ガラス板で磨くと乾いた際に自然な艶が出て、サラッとした手触りに仕上がります。
特徴は以下の通り:
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革の繊維を固め、しっかりとしたハリを与える
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手触りはサラサラでベタつきがなく、次の工程にも影響しにくい
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CMCと似た使用感だが、すぐに使える液体タイプで扱いやすい
コバ磨きにも優れており、しっかりとコバを固めたい場合に最適です。
トコプロ(クラフト社)
トコプロは、トコフィニッシュの改良版とも言われており、白くとろみのあるワックス成分入りの溶液です。独特な匂いがあり、使い始めに少し気になるかもしれません。
使用感:
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艶はしっかり出るが、乾くとツルツルと滑りやすくなる
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ワックス成分が表面に残るため、次の作業時に滑って扱いにくい
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一晩置くことで、成分が革に浸透し、滑りが和らぐ
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ワックス成分により革に柔軟性を与える効果もある
強い艶と柔らかさを両立したい場合に向いていますが、コバ磨き用途では滑りやすさがデメリットと感じるかもしれません。
トコ艶クリーム(岡製作所)
トコ艶クリームは、同様にワックス成分を含む白いクリーム状の溶液で、匂いはほとんどなく快適に使用できます。
ポイント:
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艶はトコプロよりも良好で、自然な光沢が得られる
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ワックス成分の浸透性が高く、表面の滑りが控えめ
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革に柔軟性を与える効果があり、しなやかな仕上がりに
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作業のしやすさに優れ、特にトコ面の整えに最適
「トコ洗い」目的には非常に適しており、ナチュラルな質感を活かしたい作品にぴったりです。
CMCとの比較
CMC(カルボキシメチルセルロース)は粉末状で、使用時に水に溶かして使います。コスパは非常に良く、濃度によって仕上がりを調整できるのが特徴です。
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トコフィニッシュと同様、革にハリを与える
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濃度が薄いと乾燥後にガサガサ感が出る可能性あり
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粉と水のバランスを調整することで、多用途に使える
液体タイプのトコフィニッシュに比べると準備の手間はありますが、大量に使いたい方には最適な選択肢です。
おすすめの使い分け
目的 おすすめ製品 理由 コバ磨きでしっかり固めたい トコフィニッシュ 繊維を固め、滑りもなく加工がしやすい トコ面に柔らかさと艶を出したい トコ艶クリーム 柔軟性を保ちつつ、艶がきれいに出る ワックス感を重視し、強い艶を出したい トコプロ 強い艶と柔軟性を両立できる コスパ重視・自分で濃度調整したい CMC 粉末で経済的、用途に応じて調整可能
| 目的 | おすすめ製品 | 理由 |
|---|---|---|
| コバ磨きでしっかり固めたい | トコフィニッシュ | 繊維を固め、滑りもなく加工がしやすい |
| トコ面に柔らかさと艶を出したい | トコ艶クリーム | 柔軟性を保ちつつ、艶がきれいに出る |
| ワックス感を重視し、強い艶を出したい | トコプロ | 強い艶と柔軟性を両立できる |
| コスパ重視・自分で濃度調整したい | CMC | 粉末で経済的、用途に応じて調整可能 |
まとめ
レザークラフトでの仕上げ剤選びは、作品の質感や作業性に大きく影響します。それぞれの製品には異なる特徴があり、用途に応じて使い分けるのがベストです。
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ツヤと柔軟性重視ならトコ艶クリーム
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しっかりとした仕上がりを求めるならトコフィニッシュ
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コスパ優先ならCMC
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強い艶と保護性能を求めるならトコプロ
複数を使い比べて、自分のスタイルに合った仕上げ剤を見つけてくださいね。
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